ヤタガラスももう10数本製作してきましたが、ずっと気になることがありました。
フレームの治具で仮付けしたパイプを定盤で測定すると、必ず少しずれがありました。
当然フレームを作り始めたときの僕は自分の腕に問題あり、溶接による金属のひずみが原因だと思っていました。
あとはまあとにかく僕の腕が悪いんだろうと思っていました。
でももう十数本も作ってくると、なんだか疑問が生じるようになってきました。
今までの僕はまさか道具に問題があるとは夢にも思っていませんでした。だって譲っていただいたビルダーさんは神のような精度と美しさで有名なビルダーでした。
その人が使っていた道具を疑うなんてもう夢にも思いませんでした。
で、ちょうど試作8号機を作っていた時、ふとボトムブラケットを固定する治具の穴が軸に対してごそごそであることに気が付きました。
僕は思わず???となり、よく似た別の部品と組付けを間違えたのかと思いました。
でもあっちはぴったりだったので、ここに使う治具で間違いありません。
ボトムブラケットの精度が出ていてきっちり締めていればある程度は大丈夫ですが、横方向から強い力でパイプを固定するのでこれはよくありません。
あ・・・これあかんやん・・・となりました。
で、旋盤を駆使して治具を制作しました。
まさか治具に問題があるなんて。
じゃあ前のビルダーさんはどうしていたのでしょうか。
そういえばこんなことを言っていました。
「フレームを見てな、測定器がちゃんと正しい数値をさしていてもな、自分の目がおかしいと思ったらそっちを信じるねん」
そうか・・・あの人は道具を信じ切らずに自分の目を信じてあの精度で作ってたんか・・・まじか・・・。
まだまだその領域にはとどきませんが、普段から当たり前であることは常に疑問を持ってみなければいけませんね。
いい自転車を作るためにはまだまだ見つかっていないものがいっぱいあるかもしれません。
まだまだ成長しなきゃですね。
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